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妻をけしかけ…2


宮川さんとの事があって
、夫婦生活にも変化がありました。


ひとつは、以前に比べて、寝室での会話?と言うより
睦言の中での事ですが、
元カレとのセックスを
あからさまに話すように
なりました。


『あなたと婚約してからは絶対会ってないわよ』


「と言う事は、俺と婚約する前、付き合っていた時は、俺とも会いながら、男に
抱かれていた…と言うことだよな」


『ん?、あったかも…』


「あー許せないな?
チンポコ立っちゃう」


『馬鹿みたい…、別れる時なんて、大変だったんだから…』


「どうしたの?別れるのなら、最後にもう一回やらせろ!とか…?」


『えっ!何で知ってるの?』

「やっぱり!男ならみんな言いそうなことだ」


『そうなんだ…』


「感心するとこじゃないだろう。それで裕美はやらせてやった訳だな」


『しかたないわよ…最後だからって言われたら…私
から付き合って!って始まったことだし』


「最後だから、その男も
目一杯!裕美を抱いたんだろうなぁ」


『ウフッ!聞きたい?』


「ちきしょう!言えよ、
早く!」


『あのね、泣きながら
めちゃくちゃ抱かれちゃった!私の体があの人を
忘れないよう抱いてやるって!』


「何回もいかされたのか?」


『…そうだったかなぁ?私も感情が高ぶっていたし…結婚しても会ってくれって言ってたわ』


「今でも、その男、裕美の
会社に来るの?」


『担当の人は代わったけど、時々ね。』


「今でも口説かれてるの?」


『電話が何回か入っていたけど一度も出てないわ』


「今、会ったらどうなのかなぁ」


『だめよ、会わないわよ、私』


「裕美さえしっかりしてれば、会ったってどうてことないんじゃないの?」


『会わないの、もう終ったことなんだもの』


「会うと自信ないんだ?」


『ンもう?!そうよ、自信ないわ!何度も抱かれた男
だから、会ったらまた抱かれるわよ。断れないよ。
意地悪なんだから…』


「ごめん、ごめん。意地悪しちゃった。でも、今でも
電話がかかってくるのは
問題だなぁ…俺がそばに
いる時、電話かかって来ないかなあ」


『かかってきたらどうするの?』


「ちょっと遊んで見るか」

『遊ぶ?また変なこと考えてない?』


「電話がかかるのは、多分
また裕美を口説く為だろぅから…裕美は適当に話しを合わせてながびかす…」


『それから?』


「元カレと話している裕美を俺は抱く…そして裕美は喘ぎ声を上げ、元カレに、今旦那に抱かれながら話している、と告げる…すると
元カレはガク然として、
裕美を口説いても無駄だと悟る、と言う筋書きだ」


『よく考えるわねぇ、
そんなばかばかしい事』


「ハハハ!だめかなぁ」


『なに考えてるのよ。


「でもさ?今でも電話が
かかるのは、裕美を口説きたいからだろ?」


『知らないわよ』


「裕美の体が忘れられないんだろうなぁ…こんな体して…裕美も罪な女だなぁ」

半分ふざけながらの睦言
でしたが、それから一ヶ月もしない内にその元カレが妻に脅迫じみた電話を
かけてきたのです。



会社帰り、私達は外食をする為、待ち合わせていました。


その頃、妻が気に入り何度かおじゃました和食店でした。


店に入ると、先に妻が来ていましたが、いつもの
カウンター席ではなく、
後ろのテーブルに座って
いました。


「裕美、カウンターでなくていいの?」


『うん、今日はこっちで
いいわ。ちょっと話しも
あるし…』


「話し…?そう…取りあえずビール、お願いします」


何品かの料理を注文し、
あとは日本酒です。妻は
和食店なら日本酒、洋食店ならワインと決めているのです。


「話しってなに?」


『うん、さっきここに来る前、駅でばったり会ったのよ…島田さんと…』


「島田って、元カレの?」


『そう…、あの人から声かけてきたんだけど、ほら…
携帯の留守電に何度か
入っていた話し、あなたにしたでしょ?』


「あぁ、聞いてるよ。裕美は無視して、かけてないんだろ?」


『かけてないわよ。それをね、電話くらい出てくれてもいいんじゃないかって』

「なんだそれ!」


『旦那に隠したいのは
わかるけど、俺は裕美と
終ったとは思ってないからねって言うのよ』


「はぁ?!2年前の事だよ?
馬鹿じゃないか!そいつ」


『今でも、たまに会社に
来るじゃない。なんか視線は感じてたけど、口きいた事もないのよ』


「そんな、ひんぱんに留守電入ってたの?」


『あなたと婚約した頃は、結構入ってたけど、結婚してからは、ほとんどなかったわ…結婚おめでとう、
なんてあったけどね』


「女房、子供のいる奴だろ!なに考えてるんだよ。
なんか腹立ってきたなぁ」

『担当外れた時、お世話に
なりましたって、みんなにお茶菓子もって挨拶に回った時、私、わざと席外して、合わなかったのね…その日には留守電入ってたわ』


「なんて?」


『私に逢いたくてお茶菓子までもって行ったのに、
なんで席を立ったんだって…担当を代わっても、たまには会社に顔を出すから、
お茶くらい一緒に飲もうよって、入ってたわ』


「それだって、半年も前の話しだろ!ストーカーみたいな奴ダナ!」


「わかった、俺が何とかするよ!」


『何とかって…会社の人にわかるのは嫌よ』


どうする、と具体的なことを考えていたわけではありませんが、妻が脅迫されたようで、許せない思いでした。


「まぁ心配するなよ。
俺も知ってることだしさ」

『でも、本当。あなたに全部話しておいてよかったわ。あなたに隠していたら、私どうして良いかわからなかった』


「旦那にバレたくなかったら、もう一度、よりをもどせ!…ひひひひ」


『あれーご無体なぁ―、
ふざけてる場合じゃないでしょ』


「旦那と共同所有でどうだ?」


『んー、給料が二倍になれば考えてもいいなぁ』


「給料かい!…毎日掛け持ちで抱かれるんだぞ?」


『いいかもねぇ…』


「男二人で裕美を抱く!
俺は下半身、奴は仕方ない、口を使わせてやるか」


『あぁ?すてき、もう
どうにでもしてぇ―なんて言うはづないでしょ!』


ふざけてはいましたが、
なんとか、会社にわからないように解決しなくては、と思っていたのですが…


二日後、出社間もない妻から電話がかかって来たのです。


それも、かなりあわてた声で…

妻からの電話でした。


「どうした、何かあったのか?」


『あなた!さっき課長に
呼ばれて、名前を聞いても名乗らない男性から、君宛てに3回も電話があったけど、友人なら名前くらい
名乗るように、言ってくれって、言われたのよ』


「それで…?」


『私、心配になって携帯見たら、あの人から留守電が入ってて、電話に出ないなら、会社の電話で私を呼び出すって入ってたの!』


「ふざけた野郎だなぁ!
島田は俺が知らないと思って、裕美を脅迫してるんだ!会社の者には気付かれて
ないのか?」


『多分…山内課長はわからないわ。でも、またあの人から会社に電話があったら…どうしよう?』


「課長には、誰からの電話か思い当たらないと、言っておけよ。それから、島田から携帯に電話があっても、絶対にでるなよ」


『わかったわ。でもあなた、会社の外で待ってたら…
怖いわ』


「俺が迎えに行くから、
それまでは会社から出るなよ」


『うん、ありがとう。
ごめんね、あなた…』


約束通り、妻を迎えに行きましたが、中々出て来ません。

心配になり携帯に電話したのですが、留守電になっていました。


妻の同僚を見つけ、妻は?と聞くと、課長に呼ばれていたとのこと…何やら、
嫌な予感がしたのです。


しばらくすると妻が出て来ました。
顔が沈んでいます。


「どうした?」


『あれから、もう一度会社に電話をかけて来たの。
課長が出て、名乗らない者に、電話を取り次ぐ訳にはいかないって言ったら、切れたって…帰る前に呼ばれていろいろ聞かれてたの』


「課長はなんて?」


『何か心配事でもあるなら、何でも相談にのるし、もし秘密にしたいことなら信用して話して欲しいって言ってたわ』


「裕美は?」


『あなたが言った通り、
かけてくる人に、思い当たらないって言ったわ』


「うん、それでいいよ。
でも、課長はなんか感じてるようだなぁ」


『4回も電話かけてくるなんて…、許せないわ』


「俺が家か会社に乗り込むよ!奴にはそこまでやらなきゃ、わからないよ」


『会社に乗り込むなんて
駄目よ。取引先なんだから、うわさは直ぐに広まるわよ。家だって、まだ小さい子供が2人いるのよ』


「そんな奴が、ふざけた事してるんじゃないか!
家庭や会社無くしても仕方ないことしてるんだよ!」


『……………』


島田の家庭に二人の子供がいる事まで持ち出して、
かばうような裕美の言葉に私は、いらついていました。

『今夜、電話してみるわ…
島田さんだって、取引先
なんだから、こんな事が
表ざたになったら、大変な事になるくらいは、わかると思うわ…』


「俺がそばにいる時でないとだめだぞ」


『わかってる。本当に
ごめんね、あなた…』


「一昨日、駅で裕美を
見かけて、また復活させたいと思ったんだろうな」


『そんなこと…』


「でもな、裕美…らちが
あかないようなら俺は
島田を許さないよ。裕美が反対しようが、島田が会社や家庭を無くす事態に
なってもだ」


こうしてその夜、裕美が
島田に電話することに
なったのですが…そこには気の小さな男と、それでも
見栄を張り、破滅の道を
歩む男の姿がありました。


この話しは、私達夫婦にとって、今思い出しても、気分の重くなる出来事でした。


家に帰り、妻は直ぐに
シャワーかかってくるね、と浴室に向かいました。


シャワーにかかりながら、
私のために風呂に湯を張るのです。


妻は毎日決まって3回風呂に入ります。朝のシャワーと、帰ってのシャワー、
そして寝る前には湯舟に
浸かるのです。


その日は外食をして来たので、パジャマに着替えて出て来ました。


『あなた、お風呂入ったら…、出て来たら電話するわ…』


私もパジャマに着替え、
妻のそばに座りました。


時間は8時少し前でした。


携帯を取り、妻がかけました。


『……………もしもし、…
私です…何なんですか…
えっ?…ハイ!』


妻は携帯を押さえ


『すごく慌ててる、
ちょっと待ってくれって!
家に居るみたい…』


多分、島田の周りに家族がいるのでしょう。突然、裕美からの電話でパニクって
いるようでした。


『はい!どんなご用件だったんですか?!あなたなんでしょ?名乗らないで会社にまで電話したのは!
えっ、知らない!?
あなた私の携帯の留守電に入れてたじゃないですか!
どうぞ!…全然構いません!主人は知ってます…嘘じゃありませんよ!島田さん…
あなた、こんな事する人
だったんですか?えぇ、
がっかりしました』


私は思わず裕美の携帯を
むしり取り


「おい!島田、いい加減にしろよ!情けない奴だなぁ!お前ぶっ殺すぞ!」


《何だ!お前は誰だよ!》


「俺か!裕美の亭主だよ!
てめぇ、情けない事やってんじゃねーよ!」


《亭主だぁ!?うそ付くんじゃねぇ!裕美に頼まれてんだろうが!関係ねぇよ!
引っ込んでろ!》


「上等だ!島田!てめぇの
会社と家、乗り込んでやるから待ってろ!クビになってから泣き付いても、遅いんだよ」


《おー!やってみろや!
裕美の亭主ってんなら、
待っててやるよ!裕美と
一緒に顔をだせや!
裕美と俺が、どんなに仲良かったか教えてやるよ!》


私も島田も完全にキレて
いました。


『あなた、もう止めて!』


妻はそう言うと私から
携帯を取り


「島田さん!あなたって人は…なんて人なの!本当に
情けない人ね!子供さん
だっているんでしょ!
もう二度と顔も見たくないわ!電話なんてしないで!』

裕美はそう言うと電話を
切り、携帯をソファーに
投げ付けたのです。


しばらくは、お互い口を
開けません。


私は頭の中で、いろんな事を考えていたように思うのです。


最初、島田は、裕美からの
電話にうろたえていた…
家族に知られる事を恐れてる?


私を夫と信じていない…
裕美が自分との事を、夫に
言えるわけがない?


そう考えると、島田は、
実は、女絡みのトラブルを家族に知られる事を怖れる普通の家庭人なのだ。


そして、人妻になった裕美が、結婚前の彼氏の事を
夫に話すはずはない…
まして、裕美から告白して
始まった関係だ。


そんな事が頭の中を巡っていたのです。


『あれでもう電話は
かけてこないわよ』


「わからないぞ。俺を亭主と信じてないみたいだし、
裕美からの言葉で、多分
プライドも傷付いたろう
から…可愛さあまって
憎さ百倍ってこともある」

そして翌日、島田は
取り返しのできないミスを侵したのです。


妻の言う通り、今夜の
電話だけで止めて置けば、
これだけの事で済んでいたはずなのです。

昨夜は妻も眠れない様子
で、めずらしくワインを
持ち出しました。


『なんか滅入って、眠れ
そうにないわ…』


「そうだなぁ、俺もだ」


『あんな人じゃなかったんだけどなぁ』


「意外と本人は大変な事をしている自覚がないのかもなぁ」


『そうなのかしら…男って昔の元カノを今でも何とかなると思ってるのかなぁ』

「あぁ、それはあるかも
知れない。完全に嫌いに
なったり、大喧嘩して別れたのなら別だけど…」


『女は違うわ。目の前の人しか見ないわよ。好きに
なったら前の人なんて、
どんどんかすんで行くわ』

「男は結構引きずるんだよなぁ…女は立ち直りが早いよ…」


『あなたが、浮気しろとか、三人で遊ぼうとか言うで
しょ?相手が島田さんでもそんなこと言える?』


「えっ!ん?、裕美は
今でも島田となら関係を
もってもいいのか?」


『駄目ね!ありえないわ。
まして今回のようなことがあると尚更よ。あんな人だと思わなかったわ』


「俺も島田は駄目だ。」


『ふふふ…私達なに話してんだろう…うふふ、いやぁねぇ?夫婦の会話じゃないわ』


「ハハハ、そうだなぁ
結局、裕美を他の男に抱かせる話しだ、ハハハ」


この時、正直に言うと…
妻を島田に抱かせてやればすべて丸く治まると…頭の角によぎったのを覚えて
います。


こんな、他愛ない話しでも裕美は幾分気が楽になったのか、それとも私に気を
使ったのか…


『この前、課長に呼ばれた事があったでしょ?』


「あぁ、島田が会社に何度も電話した時だろ?」


『そう、あの時ね、妙に
優しくってさ、君達夫婦は
確か、社長が仲人だったよね、僕で乗れる相談なら、
いつでものるからって…』

「へー、社長が仲人だから優しくしておこう、か。
わかりやすい人だなぁ」


『それもそうだけど、
ほら、あだ名が“象さん”じゃない…思い出したら
可笑しくってさ、うふふ…
あなたが、象さんを捕獲
しろって…』


「あぁ、そうだった!
山内課長のちんちん、象の鼻みたいにデカイとか言う噂だよな…」


「そうだ!裕美は課長なら
落とすのは簡単だって
言ってたよな。」


『そう、飲み会の時は
いつも私のとなりに座って、胸に肘を当てたり、立ち上がる時に、私の太腿に手を付いたり、トイレに行く時、私の後ろを通るんだけど、
何気にさっとお尻を触るのよ…セクハラもいいところ…』


「それなら裕美さえその気になれば、直ぐに落ちるなぁ…。象さん落としてみるか?」


『今はそんな気分じゃないわ…でもあなた、課長なら
いいと思ってるの?』


「いいと言うより、興味かなぁ…男と言うのは、自分の最愛の妻が自分より
大きなちんちんでやられたらどんな反応をするか?
見てみたいと思うんだ」


『悪趣味ねぇ…そんなことさせて、もしそっちが良くなったらどうするのよ』


「それは…困るよ」


『勝手ねぇ』


「でもさ?女の本音と
してはどうなの?大きいのに興味はないの?」


『ん??以前の私なら、
まったく興味はなかったと思うなぁ』


「今は?女も色んな男を
経験すると、変わるだろ?」

『旦那が変態だとねぇ』


「なに言ってんだよ。
男二人にやらせたのは、
俺より先に島田じゃないか」


『あの話しからあなたが
発病したのよねぇ…
まずかったわ』


「ハハハ、高熱にうなされてるよ。まぁ課長のことはともかくとして、明日も
俺が迎えに行くから、
それまでは待ってろよ」


『大丈夫よ。来なくていいわよ。女学生じゃあるまいし…もう来たりしないわよ。あれだけ言ったんだし』


しかし、島田は来たのです。しかも…

翌日、私はそれでも心配になり、会社まで迎えに行く事にしました。


しかし、4時半頃から何度電話しても留守電になり、
いやな感じがしたのです。


結局、5時を過ぎてしまい、行き違いになるかも知れないと思い、あきらめた頃、
妻から電話が入りました。


緊張した声です。


『あなた、ちょっと会社
まで来てくれる?』


「いいよ、なんかあったのか?」


『来たのよ…島田さん…』

「えっ!来た!?…馬鹿かあいつは!…それで、今
そばにいるのか?」


『課長と話してる』


「はぁ?なんで課長と?…はぁ?」


頭が混乱して理解不能でした。


「裕美、もっとわかるように話してみろよ」


『あのね、5時過ぎに会社を出たのよ。50mくらい歩いたところで、あの人から呼び止められて、話しがあるから、ちょっと来てくれ!って手を引っ張られたのよ。
それで私、何すんのよ!って振りほどいて、また会社に
向かって走って逃げたの。そしたら、追っかけて来て…また手をつかんだのよ。

そこに、会社から出て来た課長にばったり会って…

なにしてんだ!あっ、あんた島田さんじゃないか!
あんた、うちの社員になにしてるんだ!って』


「それで、課長と島田が
話してるのか?」


『そう、課長には全部
知られるかもしれない…』

「わかった。今から行く!課長には俺が行く事を伝えておいてくれ」


『あなた、お願いだから
暴力だけは振るわないで』

「そんなことわからないよ!奴の出方次第だよ!」


私は頭に血が昇っていました。あの野郎、血迷いやがって!


会社に着くと直ぐに裕美が近寄って来ました。


『こっち…この部屋』


部屋に入ると、課長と目が合いました。


「あっ、課長!」


〔あっ!津村さん…どうぞこちらにお座り下さい〕


そう言うと、島田の前、
課長のとなりに私を座らせました。


私はじっと島田の顔を
睨み付けていました。


〔あんたねぇ、御主人に
謝るのが筋だろう!なに
黙ってんだよ!〕


目の前の島田は下を見つめ、肩を落として、昨夜の
電話での威勢はまるでなく、何やらうらぶれた感じ
さえしました。


《すみません…》


聞き取れない程の小さな声です。


「あんた、俺が昨日、電話で怒鳴ったじゃないか!
なんで今日、裕美を待ち伏せたりしたんだよ!なんの話しが裕美にあるんだ!
言ってみろよ!」


《本当に旦那さんだったんですか…すみません…》


「裕美は俺に隠し事なんかしないんだよ!血迷いやがって!お前、女房、子供が
いるんだろうが!
家庭までぶち壊す覚悟で
やってんのか!根性もないくせに突っ張ってんじゃ
ね?ぞ!この野郎!」


《………………………》


私は課長の前とは言え、
興奮と怒りで抑えることが出来ませんでした。


「何とか言え!この野郎」


《………………………》


〔津村さん…お怒りは
ごもっともです。ここは
私にお任せ願いませんで
しょうか?決して、
うやむやにする事は
しませんので…私としても会社の女子社員にこんな事をした男を許す訳には
いきません。まして彼は
取引先の社員です〕


私にしても、この会社の
取引先です。得意先の課長に頭を下げられたら、これ以上島田に罵声を浴びせる事は出来ませんでした。


「あんたなぁ、山内課長に感謝しろよ!課長が居なかったら、どうなってたか
わからないぞ!
課長、申し訳ありません。よろしくお願いします」


そう言って私は席を立ち、部屋を出ました。


部屋の外では妻がオロオロとした感じで、私に近寄って来ました。


『課長どうするのかしら』

「知らないよ!でも島田にとっては、大変かも知れないよ」


『大変って?まさかクビ?』

「わからないけど、課長の面子もあるからなぁ」


しかし、島田は何と馬鹿な行動に出たのでしょうか。


会社の近くで妻を待ち伏せ、妻が素直について来ると思ったのでしょうか…


しかも強引に…それを
得意先の課長に見つかると言う失態まで…血迷ったとしか思えないのです。


島田にすれば課長に見られた事が大誤算で、その後の彼の人生は変わったのですから…


あれ以来、山内課長から
何度か電話を頂き、
相手会社の島田の上司に、
強く抗議し、島田の処分を求めたそうです。


もちろん、裕美の名前を
出す事なく、貴社の社員、
しかも妻帯者が、嫌がる
我社の女子社員を…との事でした。


〔津村さん、これで私の
出来る事はすべてやりました。ご納得頂けないのは、
重々承知しておりますが、あまり事を大きくすると
うわさに昇るかもしれませんし…〕


「わかりました。課長に
お任せした以上、とやかく言うつもりはありません。反って課長には大変ご心配をおかけしてしまいました。本当に申し訳ありません。ありがとうございました」

私は心から感謝していました。


〔いえいえ、そう言って
頂くと私も肩の荷が軽く
なりました〕


結局、島田はクビは免れたものの、地方転勤を命じられると自ら退職をしたのです。


この出来事は私達夫婦、
とりわけ妻には重苦しい
思い出となり、これ以降
夫婦の会話に島田の名前が出る事はありません。


『私、会社辞めてもいい?山内課長に知られたのが、嫌なの…』


「それはいいよ。でも課長から何か言われるのか?」


『今の所そんな事ないわ…でも…嫌なのよねぇ』


妻の気持ちは理解出来るのです。結婚前とは言え、
不倫していた事実を課長に知られ、島田がどこまで
話したのか気になっているです。


「あまり気にしない方が
いいよ。今の時代珍しい話でもないし…辞めるのは
構わないから、いつでも
辞表を叩き付けるつもりで課長の出方をみたら?」


『ありがとう。気が楽に
なったわ…そうよね、辞表覚悟なら何でも言えるわ』

今思うと、妻が開き直って課長に接するきっかけ
だったように思います。


妻は課長にずけずけ言う
ようになり、反ってそれが裕美と課長の仲を円滑に
したのですから世の中は
わかりません…


冗談まで言い合うように
なり、裕美の口から山内課長の名前がひんぱんに出るようになったのです。


『あのことがあった頃は、課長が私に気を使ってるのがわかって、反ってそれが嫌でたまらなかったのよ…ミスをしても、うやむやで叱らないし、他の社員の
ミスには結構怒鳴るくせにね…
一度、課長を呼び出して、私に気を使わないで下さいって言ったのよ…

そしたら、津村さん、僕はなにも君に気を使ってないよ、むしろ君の方が…
まぁ、お互い無意識の内にそうなっていたのかも知れないねって』


「よかったじゃないか」


『うん、あれからずいぶん
気が楽になって…課長を
見直したわ。以前はただのセクハラ親父だと思ってたけど、結構いいとこあるわ』


そして、ある日の夕方、妻から電話があり


『あなた、課長が今夜
一緒に飲まないか?って
誘われたんだけど、どうする?』


「えっ!俺も一緒にか?」


『当たり前でしょ!二人切りなら私行かないわよ』


「そうかぁ、課長には公私共に世話になってるし、
いい機会だから、うち持ちで接待するよ」


『わかった!じゃあ待ってるからね!あの和食店で
いいから予約しておいて
くれる?課長、和食党だから』


こうして課長と飲む事に
なったのですが…

少し早めに店に着いて課長を待ちました。


「あっ!課長…お待ちしていました」


裕美と課長が入って来ました。


〔あ?津村さん、申し訳ありません、御呼び立てしまって〕


「とんでもないですよ!
私の方こそお世話になりっぱなしで…」


『はい、はい!挨拶はそのくらいで…さぁ課長!飲みますよ?今日は日頃の
うっぷんを聞いてもらうんだから…』


「裕美っ!」


〔ハハハ良いんですよ、
今日は無礼講と言う事で…じゃあ乾杯といきましょ〕

飲むほどに、楽しい時間になりました。


三人共、しこたま飲み、
かなり酔っていました。


『課長、課長は思ったよりいい人だわ、私ねぇ少し
見直したわ…うん!』


〔ほう?少しか?いや、俺も津村君を見直してるよ〕


「すみません、ちょっと
酔ったみたいで…」


課長と妻は15才位の年齢差があるはずです。いつもはこんな口のききかたを出来る人ではありません。


途中、妻がトイレに立った時、


〔その後、島田からは?〕


「いえ…まったく…課長のおかげです。会社を辞めたらしいですね…」


〔ええ、それは間違いありません。島田の上司から
知らせて来ましたから…
でもあれから奥さん、仕事をバリバリするようになりましたよ、私にもはっきり自分の意見を言うように
なったし…いい感じですよ〕


「すみません、ただあれは…実は、会社でうわさに
なったら、すぐに、辞表を出す覚悟をしてるんです」

〔えっ!そんな!?〕


「いえ、それも…なにもかも課長のおかげです。」


〔僕は何もしていませんよ。奥さんが変わったんですよ…津村さんが支えたからですよ〕


「結婚前のことですし…
よくある話しです。裕美が特別じゃないし、前の事
なら私の方が傷だらけですから(笑)」


〔それはそうですねぇ…
僕も傷だらけだ(笑)〕


そこに妻が帰ってきました。にこにこ笑っています。


『なに男同士で盛り上がってるのよ…何の話?』


「課長の若き日の武勇伝を聞いてたんだよ」


『へぇ-それ私も聞きたい!いつも難しい顔してる課長が、どんなだったの課長?』

〔どんなって(笑)、普通だよ!普通に恋愛しただけだよ〕


「そんなはずないでしょう?課長は背も高いし、いい男だし、がたいもいいし…
三拍子揃ってるじゃないですか」


『あなた、ほめ過ぎほめ過ぎ(笑)、最近はお腹も出てきたし、加齢臭もするんだから(笑)』


〔加齢臭!?エッ!本当か?〕


『嘘よ!うそ、汗臭い時はあるけどね(笑)。まぁ40代にしてはイケてますよ』


〔津村さん、最近はこれなんですよ…上げたり下げたり〕


「すみませんねぇ、亭主の教育が行き届きませんで」

『そんな事より課長、実際どうだったんですか?
泣かせたの?』


〔俺上司だよね?上司に聞く?普通〕


『聞く!』


〔そう…初めは大学の先輩… 〕


『先輩やっちゃったの?』

〔津村君、やっちゃったって表現はやめてくれよ。
恋愛をしたんだよ〕


『でもやっちゃったんで
しょ?』


〔うん、やっちゃった…〕


『ほら』


『結婚してからは?』


「裕美!お前何なの?」


〔ハハハないよ!僕は一穴主義だからハハハ〕


『一穴!?課長!その言葉
女性蔑視じゃないの!』


「じゃぁなんて言うんだよ?」


『知らないわよ!もう?
男はいやらしいんだから』

〔ハハハ今のは撤回するよ。一穴はよくないなハハハ、女房だけ…でいいかな?〕

『へぇ?うそでしょ?
たてまえは…でしょ?』


「当たり前じゃないか、
周りの女がほっとかないよ。ねぇ課長」


〔いや?本当、モテませんよ。もう若い娘は相手に
してくれませんよ〕


『熟女にはモテるんですか?』


〔ハハハモテないよ〕


「熟女キラーですかぁ、
でも課長、今の娘は結構
若い時から熟れてますよ」

〔そうなんですか…確かに若い人達のスタイルはいいですよねぇ〕


「そうですよ。私も裕美に惚れたのはそれですよ!
はははは」


『課長、聞いて!この人は私の人格を好きになったん
じゃないって言うんですよ。失礼だと思いません?』


〔ハハハ…〕


『課長は奥様と結婚されたのは、奥様の性格とか人格を愛したからでしょ?』


〔ハハハどうだったかなぁ?うちのは、津村君の
ようにスタイルのいい女
じゃないしなぁ…ご主人の気持ちはわかるなぁ〕


「始めだよ裕美、男は始め女を見る時、やっぱり顔だし、スタイルだよ、話したりデートして性格もわかるし好きになるんだよ」


〔好きになるのに理屈は
ないからねぇハハハ
ご主人は君に一目惚れしたんだよ。〕


課長の応え方に年上の余裕とか大人の男くささを感じていました。


この日の飲み会は9時近くまで続きましたが、これを境に2ケ月に一度位、席を
設けました。


私にしてみれば得意先の
課長でもあり、懇意にしてもらうのは願ってもない事でしたが…それ以外にも
ひそかな狙いがありました。


この頃から、私はまさに
【妻をけしかけ…】始めたのです。


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